リニア見越し名古屋が脱・3番手? 大阪にオフィス賃料肉薄、「GDP」は逆転 – 中日新聞

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リニア開通で利便性が劇的に上がる名古屋駅周辺=本社ヘリ「あさづる」から

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 二〇二七年を目指すリニア中央新幹線の開業に向け、大都市としての名古屋の価値が高まっている。大阪に大きく水をあけられていたオフィス賃料は、その差が二十年前の十分の一以下に縮まった。商業地の地価や都道府県版の国内総生産(GDP)「県内総生産」では大阪と名古屋の逆転現象も。名古屋は東京、大阪に続く「三男坊」という長年の構図に変化の兆しが見られる。

 オフィス仲介の三鬼商事(東京)によると、名駅や伏見、栄の「名古屋ビジネス地区」と、大阪中心地の一坪当たりの月額オフィス賃料の差は今年十月時点で三百二十一円。一九九八年で約三千七百円、二〇〇八年でも約千三百円あった差を近年一気に縮めている。

 賃料上昇の背景には、好業績の自動車産業が支える堅調な地域経済と、利便性が劇的に高まるリニア開業への期待がある。

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 名駅周辺では相次ぐ再開発で新たなオフィスが大量供給されたが、かえって郊外企業の都心移転の需要を呼び起こした。オフィス空室率は十七カ月連続で低下中。空きオフィスを求める動きは名駅周辺から伏見や栄地区に波及し、地域全体の賃料を押し上げている。

 「リニア開業で名古屋は日本の最大マーケットの中心になる」。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの加藤義人執行役員は、名古屋から二時間で到達できる範囲が大きく広がる点に注目する。二時間圏内の人口は、リニアの名古屋開業時で名古屋が東京(品川)や大阪を抜き、大阪延伸でもトップを保つ見通しだ。

 二時間圏内に入る首都圏は、現状の東京駅や品川駅周辺の「点」から、名古屋開業時には東京二十三区の全域や千葉、埼玉、神奈川県の都市部などの「面」に拡充するとみられる。

 加藤氏の試算では、東京駅周辺にオフィスを構える五百人規模の会社が名駅周辺に移れば賃料が下がり、年間三億円のコスト削減になる。「リニアで四十分なら『名古屋が本社でも良い』と考える企業が出てくるはずだ」と期待する。

 名古屋の「脱・三男坊」をうかがわせるデータは既にある。基準地価では昨年、名古屋の最高地点が大阪の最高地点を初めて逆転。県内総生産も八月公表の一五年度に愛知県が大阪府を抜いて全国二位となった。

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 名古屋が大阪を抜き去る時代は訪れるのか−。リニアの開業効果を分析する名古屋学院大の江口忍教授は「大阪は神戸など強力な周辺都市があり、西日本全域から人が集まる。名古屋は名駅周辺が局所的に発展し、トヨタ自動車という世界的企業があるだけ」と慎重な見方を示す。訪日外国人の数など、国際都市としての差も大きいと指摘する。

 「名古屋は産業都市として特徴があり、東京や大阪と争う必要がない」と考えるのは中京大の内田俊宏客員教授。リニア開業で時間距離が縮まると、名古屋のものづくり産業が首都圏などのIT産業と結び付きやすくなるとした上で「他都市と質的な差別化を図ることが重要だ」と訴える。

 (石原猛)

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