独立投票1年後も混迷続く 市民二分 – 毎日新聞

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住民投票から1年となるのを前に、「我々は(運動を)やめない」とカタルーニャ語で書いたプラカードを掲げてデモする独立支持派の住民ら=スペイン北東部バルセロナで2018年9月20日、AP



 【パリ賀有勇】スペイン北東部カタルーニャ自治州で独立を問う住民投票が実施されてから10月1日で1年を迎える。独立問題を巡り国と州の分断が続くなか、スペイン中央政府のサンチェス首相は自治州政府との緊張解消を図るが、トラ州首相は「独立」にこだわり、長引く混乱が収束する道筋は今も見えていない。



 州都バルセロナでは今月11日、1714年9月11日にスペイン継承戦争(1701~14年)でバルセロナが陥落し、国家としてのカタルーニャが消滅したことを記憶する自治州の祝日を迎え、多数の独立派市民がデモ行進。また、住民投票直前に国家警察が州幹部を拘束した日から1年となった今月20日には、「我々は(運動を)やめない」と書かれたプラカードを手にした独立派市民がスペイン当局への抗議デモを行った。

 地元メディアによると、混乱を背景に、今夏のバカンスシーズンは州内の宿泊施設の収益が昨年同期比14%減となるなど、独立問題の余波は今なお続く。

 また、独立への賛成票が圧倒的多数を占めた住民投票後に、会社の法人登録をマドリードなどの州外へ移した企業は、パナソニックや三菱電機などの日系企業の現地法人を含め4000社を超える。法人税は国税のため、州への直接的な打撃はないが、独立問題を巡る混乱は州内への新たな企業進出や投資を妨げる要因となっている。観光産業への影響や企業の流出が進めば、国内総生産(GDP)の約2割を占める豊かなカタルーニャ経済に影響が出かねない。

 独立問題は今も州内の市民を二分。7月20日公表の州政府機関の世論調査によると、独立賛成は46.7%で反対は44.9%と拮抗(きっこう)する。

 昨年の住民投票は、スペイン憲法裁判所が事前に投票の無効を宣告したのを無視する形で行われた。投票を阻止しようとする国家警察が、投票所から市民らを排除する様子がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で拡散され、市民が反発を強めた。投票結果を受けて州議会が独立宣言決議を可決したことで、ラホイ政権(当時)が州の自治権を停止するなどし、混乱が広がった。

 一方、スペイン中央政府は6月、独立派に対し強硬姿勢で臨んだラホイ政権からサンチェス新政権に代わった。新政権は、反逆の罪などで収監された州政府の元幹部らの収監先を、家族と面会しやすいよう州外から州内に移したほか、自治権拡大を問う住民投票の実施も提案。独立交渉は行わないとしつつも、前政権にはなかった配慮を見せて独立派の取り込みを図っている。

 トラ氏は「独立のプロセスは後退させない」と歩み寄る姿勢は見せず、住民投票から1年の1日に行うデモへの参加を呼びかけている。だが、独立に向けた現実的な「次の一手」はなく、手詰まり感が強まっているのが実態だ。州議会では独立派がかろうじて過半数を維持するが、派内では独立強硬派のトラ氏と、サンチェス政権との対話を求めるグループとの温度差が広がっており、独立派の結束は危うくなっている。

 一方、独立運動を主導し現在はベルギーに滞在するプチデモン前州首相は27日、来月に新党を発足させると発表。独立派の結束を図るという。

■スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題の経過■

2017年10月1日 独立を問う住民投票。投票率は約43%で独立賛成が9割

     27日 州議会が独立宣言決議を可決。中央政府はプチデモン州首相らの解任、州議会解散などを決定

     30日 プチデモン氏がベルギーに逃れる

  12月21日 州議会選で独立派が過半数維持

18年5月14日 新州首相にトラ氏を選出

    6月2日 新州政府発足で自治権が回復。スペイン下院による中央政府のラホイ首相不信任案可決を受け、サンチェス氏が新首相に就任

    9月3日 サンチェス氏がラジオで自治権拡大を問う住民投票の実施を提案。トラ氏は拒否




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