「旅」とはいったい何なのか? 「世界の七不思議」から聖地巡礼まで – DIGITALIST

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チェコ好き

旅する批評家・チェコ好きが古今東西の旅に思いを巡らせる連載。第1回は古代・中世。

※ 上の写真はパルテノン神殿(写真:チェコ好き)

旅にはそのときどきの“旬”がある

 今年の夏、「スラム街の空気を肌で感じたい!」と旅行資金をクラウドファンディングで募ろうとした大学生のグループが、インターネットで炎上した。「旅行は自分でバイトして行け」「自己実現のためにスラム街を利用するな」などの批判が集まり、結果的にこの企画は中止になったらしい。

 一方、2013年に出版された『自分の仕事を作る旅』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で著者の成瀬勇輝は、世界遺産を巡るだけのありふれた観光旅行や、自分探しの曖昧な旅を超えて、「キャリアにつながる旅」のあり方を提案した。デジタル機器やSNSをフル活用し、自分で打ち立てた一つのテーマを、旅行中に追求する。その追求の成果をもって、半年や1年にわたる長期の旅行をキャリアの空白期間にせず、「履歴書に書ける旅」としてその後のステップアップにつなげるのだ。同書には著者自身の「ノマド起業家インタビューの旅」のみならず、「世界で働く日本人女性を訪ねる旅」「オーガニック農場を訪ねる旅」など、テーマ性をもたせた旅を敢行し、その後のキャリアにつなげた旅人のインタビューが多数掲載されている。

 どうやら、旅にはそのときどきの“旬”があるらしい。世界をバックパック1つで放浪しインドあたりで沈没するヒッピーの旅。居酒屋に貼られたポスターを見て一念発起し船で世界一周する自分探しの旅。そして今もっとも旬なのは、MacBookとiPhoneを携え、旅先で出会った風景や出来事をTwitterやInstagramでドラマチックに演出して投稿し、共感と熱狂を募る自己実現の旅、キャリアにつなげる旅である。炎上のリスクは免れないが、旅を一つのプロジェクトと見なし、資金をクラウドファンディングで集めることも、今後より一般的になっていくかもしれない。

 自己実現の旅、ヒッピーの旅、船で世界一周する自分探しの旅──どの旅のあり方が正しくて、どの旅のあり方が間違っているなんてことは、きっと考えても意味のないことだ。なぜなら旅のあり方は、それらをとりまくテクノロジー、政治、歴史、宗教によって、いつの時代もコロコロと姿を変えているからである。

 今回から数回にわたって続くこの連載では、その、旅をとりまく環境の変容を見つめることが目的である。時代とともに変わったもの、時代が変わっても残ったもの。もしも旅のあり方に「本質」と呼べるものがあるとしたら、それはこのような変容を見つめ続けた先にしか、現れないはずだろう。

 第1回は、デジタル機器とSNSを駆使することが必須な現代の旅から、時代をぐぐっと遡ってみる。古代や中世において、人々は「旅」をどのように考え、どのように実行していたのだろうか?



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