独立模索 露との対立、宗教に余波 – 毎日新聞

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 【モスクワ大前仁】ロシアとウクライナの政治・軍事的対立が宗教分野にまで及んでいる。ウクライナ正教会の一部は今もロシア正教会の管轄下に置かれているが、ウクライナ正教会などは今年に入り、「完全独立」を目指す動きに踏み出した。ロシア正教会は鋭く反発。東方正教会全体に混乱を引き起こしかねない事態になっている。



 ウクライナ正教会は幾つかに分かれており、17世紀からロシア正教会の管轄下に置かれてきた宗派もある。ウクライナ政府や議会、ウクライナ正教会の一部は今春、東方正教会の中で最も高い権威を持つコンスタンチノープル総主教庁(トルコ・イスタンブール)に嘆願書を提出。ウクライナ正教会がロシア正教会から「完全独立」できるように求めた。今月に入り、独立を認める前段階となる手続きを取り始めた。

 反発したロシア正教会トップのキリル総主教は8月31日、コンスタンチノープル総主教のバルトロメオ1世にウクライナ正教会の独立を認めないよう直談判したが同意を得られなかった。ロシア正教会は今月14日、コンスタンチノープル総主教庁と一部交流を停止すると発表。「独立」を認めないように圧力をかけている。

 ロシアは2014年にウクライナ南部クリミアを一方的に編入し、同国東部への軍事介入を続けている。ウクライナ国内では反露感情が広がり、ロシア正教会が管轄する教区で、信徒がロシア正教会から任命された司祭を追い出す動きが相次いでいる。ウクライナでは来春に大統領選を控えており、再選を狙うポロシェンコ大統領はウクライナ正教会の「完全独立」を後押しすることで、支持拡大を狙っているようだ。

 ただしコンスタンチノープル総主教は、カトリックのローマ法王のような絶対的指導者ではない。東方正教会は原則として、各国の教会トップが対等な立場に置かれている。こうした状況も踏まえ、ロシア正教会と密接につながるロシアのプーチン政権はウクライナ正教会の「完全独立」を阻止すべく、東方正教会の信徒を抱える各国に圧力をかけるとみられる。

 ウクライナ東部では8月末、ドネツク州一帯を実効支配する親露派組織の指導者が殺害され、ロシアとウクライナ双方の対立が再び先鋭化している。

 【ことば】東方正教会

 キリスト教3大教派の一つ。ロシアや東南欧を中心とする自立教会の連合体で、信徒は約2億5000万人と見られる。ビザンチン帝国の流れをくむコンスタンチノープル総主教が大きな権威を持つ。

 古代教会は13世紀初頭までに、西方のカトリック教会と東方正教会に分裂した。ウクライナではモスクワ正教会が管轄する一派、ソ連崩壊直前から独立を主張する一派などが混在している。




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