スルガ銀行について思うこと。それでも銀行は不動産投資への融資を辞められない。 – 健美家株式会社

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投資家なら誰もが気になる融資動向をテーマに、元金融機関勤務で現在は不動産投資家である岡元公夫さんと川村龍平さんのお二人に語り合っていただく大家対談の3回目。

今回は、「 かぼちゃの馬車事件の影響で、不動産投資への融資はこれから相当厳しくなる 」という論調に対する二人の意見、元銀行員の立場から見た銀行の課題と行方等をお伝えします。

参照:フルローン・低金利時代は終焉へ。「頭金3割」が求められる近未来に起こること。
参照:銀行のエビデンスチェック厳格化で困る人たち。「共食い大家」増加の背景にあるもの。




正しい方法で行えば、ちゃんとリターンが返ってくるのが投資



岡元公夫さん

川村さんは、銀行員時代に不動産投資を始められたんですよね。

川村龍平さん

そうです。2001年から2004年までは二足のわらじでした。2005年に家賃が6,000万円になり、セミリタイアしました。今は太陽光発電が1メガで4,000万円、不動産が100室で6,000万円、金融の資産運用で2,000万円、合計1.2億円の投資による収入があります。

ローンはあと2年で完済なので、もう破綻はないでしょう。私は地主でも資産家でもなく、ゼロからのスタートです。最初の物件の融資付けでは、何度も断られました。しかし、コツコツ続けるうちに、着実に資産が増えました。正しい方法で行えば、ちゃんとリターンが返ってくるのが投資です。

岡元公夫さん

時期が良かったのもあると思いますが、それ以外に、うまくいった秘訣は何だと思いますか?

川村龍平さん

徹底的にシミュレーションをしたことだと思います。特に力を入れたのが税引き後経費控除後のキャッシュフロー分析です。国税、地方税、事業税など、すべての税金、及びかかるであろうすべての費用を計算して、検討するので、正確な予測が立てられます。

岡元公夫さん

細かいですね。現役の銀行員でも、そのシミュレーションができる人はほとんどいないと思いますよ。

川村龍平さん

本当にそうだから、困るんです。やめた人間が言うのもなんですが、銀行員には「 もっと勉強しろ 」と言いたいです( 笑 )。

金融機関が不動産投資ローンから手を引くことはありえない



岡元公夫さん

融資の話に戻りますが、前回、ここ最近、金融機関が融資審査で行う通帳やレントロールのチェック等が厳しくなっているという話をしました。

審査の厳格化はスポットや融資実務のミクロだけでなく、中長期的な賃貸マーケット変化予測などのマクロも同様です。そうなると、これまで融資がついていたのに、これからはつかなくなるという物件が出てきます。

例えば、空室率のストレスチェックを強くすると、ダイレクトに地方の物件融資に影響が出ます。千葉や神奈川、埼玉といった東京の周辺エリアは今後、徐々に買いにくくなるでしょう。

川村龍平さん

間違いないと思います。ただ、誤解がないように言っておくと、どこの銀行の人たちも、「 きちんとした案件にはこれからもフルローンを出す 」「 本部のお達しで基準を変えるわけではない 」と明言しています。

本来の正常な融資姿勢に戻るだけということです。「 かぼちゃの馬車の事件の影響で、不動産投資への融資は、これから相当厳しくなる 」という人がいますが、金融機関が不動産投資自体から手を引くということはありえません。

地方銀行の貸付先は中小企業向けが1割程で、それ以外は個人中心。個人向けの住宅ローンや不動産投資ローンをやめたら立ち行かなくなりますよ。

岡元公夫さん

地方は地場産業が衰退しつつあり、資金需要のある企業が減っています。金融庁も、不動産投資への融資を絞ると、地方の銀行が困るので、どうすればいいのか悩んでいるそうです。

川村龍平さん

銀行は1990年代から、苦しい苦しいといわれていて、これまでは系列銀行同士で合併することでなんとか生き延びてきました。最近はそれでもやっていけず、とうとう系列を超えた合併も始まっています。

銀行の存在意義が薄らいでいる中で、どうやって生き残っていくのかは、永遠の課題です。フィンテックで為替手数料もとれず、今は証券を売って手数料を稼ぐくらいしかありません。働いている人たちも消耗しています。

岡元公夫さん

本当にそうですね。

川村龍平さん

銀行はがんばれば加点される加点主義ではなく、できて当たり前で失敗すると評価が下がる減点主義です。きついノルマをクリアしても、一度失敗したら出世の道はたたれます。その割に、収入も高くありません。

メガバンクなら30代で1,000万円に届きますが、地銀はその半分くらい。都銀は支店長になれば1,000万円を超えるものの、課長代理クラスだと、奥さんがパートに出ないときついレベルです。

役職で給料が決まるので、工夫して収入を上げることもできません。僕の同期はもう半分くらい辞めています。

岡元公夫さん

お金を借りるときは銀行員の方が僕たちよりも偉く見えるかもしれませんが、実際には彼らも必死なんですよね。

各金融機関がオリジナルのルールで融資を行う時代に?



川村龍平さん

僕はこれから銀行が生き残るためには、銀行員がスキルを上げることが急務だと思っています。彼らにいい物件を見極める能力をつけてほしいですし、耐用年数も見直すべきだと思いますね。

岡元公夫さん

平成バブルが崩壊する以前は、あまり耐用年数は厳しく見ませんでした。それが、竹中平蔵大臣の頃に金融庁でマニュアルができて、十把一絡げで評価するように変わったんです。

ただ、最近はその時に作られた「 金融検査マニュアル 」を使うのはもうやめて、各機関が自分たちでビジネスモデルを作りなさいという流れになってきています。これからは、各金融機関でオリジナルのルールができてくると思いますよ。

川村龍平さん

でも、実際にそれを実行するところがありますかね。皆、失敗を恐れて何も変えられないような気がします。

岡元公夫さん

私はスルガ銀行や西武信用金庫のように、独自の方針を持ったところが増えることを期待したいですね。「 山手線や23区内で土地値のアパートなら、損をする可能性は低いので、うちは積算評価を気にせず融資を出しますよ 」というようなところが出てくるかもしれません。

個人的には、一般的な融資基準を守りながら、それ以外に100億円くらいの貸倒損失が発生しても支店の責任を問わないファンドを作って、その中で実験的に運用してみればいいのに、と思います。そういったチャレンジの中で収益を上げる方法が見つかるかもしれません。

川村龍平さん

スルガ銀行は叩かれることが増えていますが、「 他が貸さない物に融資をしてくれる 」という点では、私は高く評価しています。いい物件をきちんと見極めて、高い金利でも運営できる体制を作ることができれば、何の問題もありません。

今回の事件は一部の支店と行員が暴走したことが原因です。悪事に加担した人がいるなら処分するのは当然として、今回のことで普通の銀行に戻ってしまうのはもったいないと思います。

岡元公夫さん

そういう声は私の周りでも多いですよ。

優秀なビジネスモデルに対して融資をするのが金融機関の本来の姿



川村龍平さん

話を戻すと、私が言いたいのは、「 銀行は担保主義から脱却しなさい 」ということです。担保評価しかできない行員、レントロールのウソを見抜けない行員、前例主義で言われたことしかできない行員ばかりの銀行は、存在価値が薄れていく一方です。

岡元公夫さん

本当にそのとおりです。笑い話ですが、銀行員が「 こういう物件を売りたい人がいるので、買いませんか 」と紹介してくれた物件を買おうとして、その銀行に融資を依頼したところ、通らなかったということが珍しくないそうです。

彼らはアパートにばかり融資しているわけでなく、メーカーやアパレルや飲食業など、あらゆる産業を相手にしているので、仕方がないという面もありますが、不動産投資に関する融資のことを、わかっていない行員は本当に多くいます。

そんな状況ですから、「 銀行が融資をしてくれるからいい物件だと思った 」と考えるのはもってのほか。融資が通らないいい物件があるのと同じように、融資が通っても儲からない物件はいくらでもあります。

川村龍平さん

自分のポートフォリオの分析もできない人に、不動産投資は危なすぎます。不動産業者も同様です。不動産会社の担当者でも、銀行の評価は参考程度に、自分の頭でシミュレーションをして、数字を元に考える方もいます。そういう方に増えて欲しいですね。

そして銀行には、担保評価がどうこうではなく、「 儲かる物件なら貸す、儲からない物件なら貸さない 」という融資姿勢を目指してほしいと強く思います。

優秀なビジネスモデルに対して融資をするというのが、金融機関の本来の姿です。銀行員にその力がつけば、貸す側にも借りる側にも大きなメリットが生まれます。


編集後記

元銀行員のお二人だから見える銀行や銀行員の課題がよくわかるお話でした。明日の最終回は、融資が厳しくなる時代に物件価格はどう動くのか、初心者は何をすればいいのか等をお伝えします。お楽しみに。



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