川口のクルド人 第4部/4止 ハッピー ケバブ 日本人向けに味開発 /埼玉 – 毎日新聞

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 <故郷遥(はる)か>



 「アリガトゴザーマス アマクチ、カラクチ、ニシカワグチ?」。JR蕨駅から徒歩10分ほどの場所にあるケバブ店「ハッピー ケバブ」(川口市芝新町)で、味付けソースの甘辛と、隣接する同市西川口地区を重ねた店員のダジャレが響いた。こんがり焼き色をつけた鶏肉をナンで挟んだ中東料理のケバブサンドは今や日本でも人気となり、各地の店舗やイベントの屋台で見かけるようになった。

 日本で最大のクルド人の集住地区・川口市の芝地区周辺でも数軒のケバブ料理店が営業しており、中でも「ハッピー ケバブ」は地元の人気店だ。ほかのケバブ店がクルド人以外の集客に苦戦するなかで着実に日本人客を取り込んできた。

 店を開いて4年目という共同経営者の一人、タシさん(30)が開店までの苦労や経営方針などを語った。

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 タシさんはトルコの中学を卒業後、日本で働いていた父親を頼りに15歳で来日した。子どもの頃から料理が好きで、トルコではパン店でアルバイトをし、独学で料理の勉強もした。来日後、東京都内のケバブ店で修業を重ねた。イラン人の経営する店では数カ月間休まず1日18時間働いたこともあった。ガーナ人が経営する店に移り、肉の仕入れや調理法、接客などを学び将来の独立に備えた。

 その後、別のケバブ店で一緒に働いていた妻(34)と知り合い、2010年に結婚した。妻の義父が日本人で妻が永住ビザを持っていたため、タシさんも配偶者ビザを取得、日本で合法的に働けるようになった。少しずつ開店資金をため、13年に友人と「ハッピー ケバブ」を開業した。車を改造した屋台で各地のイベント会場などを回り、14年に川口市に店舗を構えた。

 ケバブはトルコ語で肉や魚などを焼いた料理の総称。串に刺して焼いたシシケバブと、肉を何層にも重ね回転させながら焼き上げたドネルケバブがある。ケバブの味を決める肉の仕込みとソース作りはタシさんと別の共同経営者が一手に引き受け、従業員には任せていない。牛肉は約24時間、鶏肉は約5時間、ヨーグルトやスパイスを調合した調味液に漬ける。ソースも日本人の好みに合うよう独自に開発した。

 タシさんは「味には自信がある。『お客さんは神様』だから、いつも工夫している。日本人客に商品を説明できるよう(クルド人の)従業員には日本語を勉強するよう指導している」と話した。

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 車が趣味というタシさんには、もう一つの夢がある。海外に日本の中古車を輸出販売するディーラーの設立だ。中古車を確保するためのオークションのライセンス取得を目指している。

 3年前には東京の神宮球場でケバブ料理を販売する権利も獲得し、店の売り上げ増につながった。将来はケバブ店のフランチャイズ化も視野に、経営者として着実に歩みを進めている。【鴇沢哲雄】=おわり

 (第5部を6月以降に掲載します)




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