人材と資金不足の20年 センターあいち – 毎日新聞

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被害者サポートセンターあいちの設立20周年記念式典で講演する長谷川昌富さん=名古屋市中区のアイリス愛知で2018年2月24日



 犯罪被害者を支援する「被害者サポートセンターあいち」(名古屋市中区)が今年、設立から20年を迎えた。電話相談の対応、捜査機関や裁判所への付き添いなどにより、悲しみの中で刑事手続きに戸惑う被害者の心を和らげてきた。ただ、人材と資金の不足が長年の課題になっている。【野村阿悠子】



 センターは1998年2月に社団法人として設立され、愛知県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」に指定されている。年約300件の電話相談を受けるほか、被害者が臨床心理士と面談したり、警察や検察、裁判所に出向いたりする際の付き添いを引き受ける。計約20人の相談員、支援員が、これらの業務を担っている。

 刑事裁判で2008年から始まった被害者参加制度のサポートも大きな仕事。被害者と信頼関係を築きながら、裁判への意見反映方法を模索している。

 支援員の小島きぬ子さん(60)は「裁判は一回きり。無理強いはしないが、被害者に後で『やればよかった』と悔やませたくない」と話す。名古屋地裁での制度利用者は09年度の27人から16年度は56人と倍増しており、役割の重さは年々増す。

 一方で、センターの予算は年約2300万円。名古屋市の助成金など公的資金は2割にとどまり、残りは活動の趣旨に賛同する個人や法人の会費と寄付で賄っている。

 自動車学校など、センターの活動趣旨に賛同した事業者に、設置した自動販売機の売り上げから1本当たり2円の寄付をしてもらう仕組みを13年に始めたが、これによる年間収入は40万円ほど。資金不足の抜本的な解決策は見いだせていない。

 相談員、支援員の多くはボランティアのため、連日の活動は難しい。資金不足は人材確保の困難さにもつながっている。

 3月までセンターの事務局長を務めた林和則さんは「犯罪被害者の悩みやセンターの存在を広く知ってもらい会員を増やしたい。被害者にいつでも十分な支援ができるように、多くの人に協力してほしい」と話す。

 犯罪被害者等早期援助団体は、都道府県公安委員会が活動実績や相談員数などを審査して指定し、15年までに全都道府県に設置された。活動を取りまとめる「全国被害者支援ネットワーク」(東京都)によると、どの団体も相談員の多くはボランティアで資金や人手の余裕がないという。ネットワークの広報担当者は「行政に活動を支える仕組みをつくってほしい」と訴える。

「寄り添いに感謝」

 2月末にあったセンターの設立20周年記念式典で、母槌子さん(当時84歳)を殺害された愛知県豊橋市の長谷川昌富さん(54)が講演し、支援員に対して「ずっと寄り添ってくれた」と感謝した。

 槌子さんは2016年6月、1人暮らしをしていた名古屋市西区の自宅で、空き巣に入った男と鉢合わせして命を奪われた。同居を始める予定だった長谷川さんは「もう少し引っ越しが早かったら」と悔やんだ。

 最愛の母を失い、悲しみに暮れていた事件直後、センターから支援の申し出を受けたが「今は耳に入らない」と断った。それでも「お困りのことがあれば何でも言ってください」と優しくアプローチを続けた支援員に心を開くようになった。

 男の裁判で被害者参加制度を利用したが、医師には「精神的ショックが大きい」と法廷での意見陳述を止められていた。自分の声で思いを伝えたい半面、男の顔は見たくない。そんな複雑な胸中を酌み取った支援員は、意見陳述でのついたて設置を助言してくれた。17年7月、男に求刑通り無期懲役の判決が言い渡された。

 体験を初めて公の場で語った長谷川さんは「そばにいてくれる安心感が支えになった」とセンターの存在の大きさを振り返った。




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