新幹線開業7年 沿線との信頼関係大切に – 熊本日日新聞

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 九州新幹線鹿児島ルート(博多-鹿児島中央)は12日、2011年の全線開業から7年を迎えた。



右肩上がりの旅客

 この間延べ6600万人を超える乗客を運び、17年度の乗客数も過去最多を更新する見通しだ。全線開業直前の東日本大震災、16年の熊本地震と大きな試練を乗り越え、九州の大動脈としてその存在感を増している。

 鹿児島ルートは、04年3月に新八代-鹿児島中央間が部分開業。11年3月に博多まで延び、山陽新幹線との直通運転も始まった。通勤や通学での利用も好調で、アジアを中心とした外国人観光客も利用実績を押し上げる。博多-鹿児島中央間の1日平均乗客数は2万6527人と全線開業前の約1・5倍を超え、右肩上がりの伸びを示している。

 割引特典のある「2枚切符」や「早特往復切符」、インターネット予約など、地道な利用促進策が奏功した結果と評価したい。ただ、平均乗車率は毎年50%前後にとどまっており、さらなる工夫も求められよう。

熊本地震を教訓に

 これまでの歩みの中で、特に記憶しておかなければならないのはやはり熊本地震だろう。

 前震の16年4月14日夜、新幹線の回送車両が熊本市内で脱線事故を起こした。幸いけが人などはなかったが、営業運転中であれば大惨事につながる可能性もあった。事故原因を調査した運輸安全委員会は、報告書で「脱線防止ガードを整備していれば、事故を防ぐことができた可能性がある」と結論づけた。

 これを受け、JR九州は、脱線防止ガードの増設を進めるほか、所有する19編成の全車両の台車に「逸脱防止ストッパ」を取り付けたという。安全に責任を負う鉄道事業者として当然のことだろう。

 一方、脱線事故からの全線復旧には10日余りかかり、その間ビジネスや通勤、通学はもちろん、熊本をはじめとした九州観光にも大打撃を与えた。

 それは取りも直さず、新幹線がいかに地域の足として定着し、重要性を増してきたかの裏返しでもあろう。JR九州は、新幹線の持つ影響力をあらためて肝に銘じ、事故防止、乗客の安全確保に全力で取り組んでもらいたい。

 JR九州が2月に発表した17年4~12月期の連結決算の売上高は2955億円。前年同期比12・1%の大幅増となった。熊本地震による落ち込みから新幹線などの利用が順調に回復した鉄道事業が寄与したという。ただ、それでも鉄道事業単体の営業赤字を解消するまでには至っていない。

 沿線の人口減による利用低迷に加え、特例で認められた鉄道設備の固定資産税軽減措置も上場に伴い18年度末で失効する。鉄道事業合理化へ向け、JR九州は3月のダイヤ改正で、新幹線と在来線合わせて過去最大規模の117本の大幅減便に踏み切る。

自治体側が猛反発

 しかし、JR側の事前説明が不十分だったこともあって、対象となった自治体が猛反発する結果を招いた。減便に伴い、高校生やお年寄りら鉄道に頼らざるを得ない交通弱者が置き去りにされ、過疎に拍車がかかるとの自治体の懸念は当然のことだろう。

 新幹線新玉名駅ホーム無人化を巡っても地元との意思疎通を欠き、反発を招いたことを反省材料とすべきだ。

 JR九州の経営努力に限界があるのは理解できる。だが、経営安定化基金など多額の国費で支えられ、「路線の適切な維持」を前提に上場を認められた経緯を忘れてはなるまい。新幹線同様、ローカル線の利用促進も沿線自治体との協力があってこそだろう。自治体との連携、信頼関係の構築にも努力してもらいたい。



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