児童養護施設の移転、地元反対で断念 「学校が荒れる」 – 朝日新聞

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 岐阜県関市の児童養護施設「美谷学園」が、山県市内に施設の一部を移転新築する計画を断念した。移転先の地元自治会の「反対」が理由だ。ただ、その理由には学園側が「偏見だ」と訴えるものもあった。



 関市の山あいにある美谷学園の現施設は老朽化に加えて、通学に不便で進路選択にも影響していた。学園は来年4月開設を目指し、現施設(定員74人)の隣接地に新施設(同45人)と山県市内にグループホーム(同16人)の二つを建てる計画だった。

 だが移転先の自治会は16年9月、同じ中学校区に別の児童養護施設があることなどを理由に、住民計約1300人分の署名を添えて建設反対の陳情書を市に提出した。学園による複数回の住民説明会を経ても態度は変わらなかった。

 それでも学園側は昨年9月、施設整備の補助金を国に申請するため、必要となる市町村による意見書作成を山県市に依頼。ただ、国は補助金の交付条件の一つに「地域住民の賛同」をあげており、市の意見書には自治会の反対が記された。

 美谷学園の森川幸江理事長によると、学園側は意見書の内容を受けて昨秋に臨時理事会を開催。自治会の反対により補助金を受けられる見通しが立たない中で、グループホーム建設は財政的に困難だと判断。隣接地での新施設建設だけを進めると決めた。

 国への補助金申請手続きを行う県は昨年11月、学園からこの意見書を含めた書類を受け取った。だが、県も住民の反対を理由に「補助金の協議を国にするのは困難」と判断し、昨年末に学園側に伝えた。

 県によると、学園の現施設の定員は74人だが、国の児童養護施設の小規模化方針やグループホーム建設を見越して、1月現在の入所児童は43人に調整されている。県の担当者は「今入所する子どもが別の施設に移ることはない」とし、県全体の受け入れ態勢についても「支障はない」としている。

住民「中学 荒れる」 施設「偏見だ」

 地元の二つの自治会が山県市に出した陳情書には、施設建設反対の理由の一つに「生活環境や地域住民だけでなく、学校や子どもたちにも著しい影響を与えると懸念」とあった。「中学校が『荒れた』過去があり、また起こる心配がある」と取材に語る男性もいた。

 美谷学園の森川理事長は「施設の子が悪い子という決めつけ、偏見だ」と憤る。地元の賛同がないまま補助金申請に動いたのは「撤退すれば学園が偏見を認めたことになる」からだと説明する。

 山県市の担当者は「市としては意見書を作っただけで、あとは県の判断。地元住民を説得することも、その逆もできない」。県の担当者は「施設は地域社会全体に受け入れられることが望ましい。住民の賛同がなければ計画の頓挫はやむをえない」としている。(山岸玲)

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 〈児童養護施設〉 虐待や死別、貧困などで親が育てられない原則18歳未満の子どもを保護・養育する施設。厚生労働省の調査によると、2016年10月時点で全国603施設に2万7288人が入所する。近年は虐待を理由とするケースが増え、同省の別の調査では入所の半数近くに上った。



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