紛失荷物、航空会社が進める一石二鳥の対策 – ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

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 航空会社は、紛失した預かり荷物を利用客に効率良く返却するためのイノベーション(技術革新)に取り組んでいる。しかし、1つ大きな問題がある。紛失件数が統計にきちんと反映されなくなることだ。



 既に一部の航空会社は、預かり荷物が持ち主の搭乗する飛行機に積み込まれなかった場合、その利用客にテキストメッセージや電子メールで通知している。そうすれば利用客はターンテーブルで無駄に待たずに済む。代わりに航空会社のサービスオフィスに直行し、荷物が見つかった場合の送付先など書類に必要事項を記入すればいい。

 しかし、ユナイテッド、デルタ、アメリカンをはじめとする一部航空会社は近く、そうした通知を送るだけでなく、利用客が荷物の届け先をシステムで指示できるようにする計画だという。

 これは利用客にとっては、大幅な時間の節約になる。また、航空会社にとっても、荷物処理に関わる統計値を目立たず改善できる賢い方法となる。

 サービスオフィスに行かずに済むということは、書類に記入せずに済むということだ。書類に記入しなければ、米運輸省(DOT)にも報告されない。つまり、それら紛失荷物は政府統計には反映されなくなる。

 DOTのデータを元に毎年発表される米主要航空会社の「クオリティー調査(AQR)」も、航空会社の比較を荷物の紛失届に頼っている。

 DOTによると、現行の規則では、航空会社は利用客が届け出た誤処理荷物の件数のみを報告するよう義務づけられている。利用客が荷物を後の便で送ることに同意し、届け出なかった場合、この乗り遅れた荷物は紛失件数としてカウントされない。

 アメリカン、デルタ、ユナイテッド、アラスカの4航空会社は今年、利用客向けの誤処理荷物対応システムを導入する計画だという。

 アメリカンによると、同社のシステムは最終的に運送会社と同期させ、航空会社が荷物を運送会社に引き渡した後も利用客が荷物を追跡できるようにする。システムは夏までに導入される予定。まずは利用客が荷物の配送先を指示できるようにし、ターンテーブルで荷物を最後まで待った末にオフィスで届け出ずに済むようにするという。

 このシステムが導入されれば、利用客が別に苦情を届け出ない限り、誤処理荷物はDOTに報告されなくなる。アメリカンのジュリー・ラス氏は「われわれのゴールは、できる限り顧客の負担を軽くし、彼らを待たせずに済むようにすることにある」と説明した。

 アラスカ航空は、詳細は年後半に明らかにするとだけ述べた。デルタの広報担当者は「われわれはDOTの指示に従う」と慎重なコメントにとどめた。

 ユナイテッドは春には電子対応システムを導入する予定だという。広報担当者のチャールズ・ホバート氏によると、テキストで通知を受け取った利用客が、リンクをクリックしてユナイテッドのウェブサイトに移動し、そこで即座に荷物の配送を手配できるようにする。通知は、利用客が航空機のWi-Fiサービスを使用している場合は機内で、そうでない場合は着陸と同時に受け取れるようになりそうだ。

 ユナイテッドは、この変更によってDOTに報告される誤処理件数が減ることを認めている。ただ、ホバート氏は「そのためにこれをやっているわけではない」と説明。「このオプションを提供するのは、純粋に顧客体験を向上させ、セルフサービスの選択肢を増やすためだ」と述べた。

 荷物の処理状況は航空業界全体で改善している。DOTによると、米国では2016年の国内線の荷物誤処理件数は170万件と、2014年の210万件から19%減少した。航空旅客数は2014年よりも2016年の方が多かったため、誤処理率はさらに大幅に向上している。2014年は276人に1件の割合だったが、2016年は370人に1件の割合だった。

 こうした背景には、航空会社が利用客に課す手荷物料金が、追跡技術や荷物処理機器の向上に投資されたことがある。また、手荷物料金を課している航空会社では、荷物を預け入れずに機内に持ち込む利用客が増えたことも関係している。



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